日東精工は、セルフタッピングが難しいとされていた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板に対し、強度低下を抑え安定した締結が可能なセルフタッピンねじ「CFタイト」を開発したと発表した。既に特許を申請しており、2016年12月20日から本格的に販売を開始する。
CFRPは、自動車業界や航空宇宙業界を中心に、軽量化による燃費向上や省エネを目的に採用が拡大している。しかし締結部材として使用する場合、これまでのリベットや接着剤、インサートナットを使った小ねじ締結などの手法では、リサイクル性・利便性・部品点数の面で課題があったという。
これまでの汎用のセルフタッピンねじをCFRP板に使用すると、炭素繊維の乱れやササクレ、剥離等が発生してしまう。今回開発されたCFタイトは、CFRPへのねじ込み時の炭素繊維の乱れを軽減させ強度低下を抑えたセルフタッピンねじだ。
ねじ先端部の略三角形状が抵抗を抑えてねじ込みやすく、かつ首下部円形状がCFRPとの接触面積を増やして、高い破壊トルク性能を実現。薄板に対しても高い締結力を発揮できる。また、先端鈍角山の特殊なねじ山形状により、ねじ込み穴周辺の乱れを軽減して強度低下を抑制し外観を向上。ねじ部には2条ねじを採用し、ねじ込みスピードを向上させている。
さらに同製品は、CFRPだけでなく、多様な樹脂材において高いねじ込み性能を発揮する。数種類のねじを同製品に統一して締結作業を効率化し、管理コストを低減できるとしている。
ねじサイズはφ3~6、ねじ材質は炭素鋼。自動車業界やスポーツ・レジャー用品業界を販売ターゲットとし、初年度月産1000万本の出荷を目指すという。