日立金属ネオマテリアルは2017年1月23日、高容量リチウムイオン電池(LiB)用クラッド集電箔を開発したと発表した。同クラッド集電箔はすでに、公的研究機関や電池メーカーで良好な成果を上げているという。2019年頃に量産が始まる予定だ。
LiB高容量化の手段としては、従来の炭素系材料と比べて充放電容量の大きいケイ素(Si)などの合金系材料を負極活物質に用いる方法がある。だが、合金系材料は炭素系材料よりも充放電時の体積変化が大きいので、充放電を繰り返すと集電箔に大きな力が加わる。その結果、集電箔がシワ状に変形して活物質層にクラックが入り、LiBの寿命が短くなる。
そうした背景のもと、充放電時の体積変化に耐えられる強度の高い集電箔が求められていた。そこで日立金属ネオマテリアルは、強度と圧延加工性に優れるNi-Nb合金を芯材とし、表層材に低電気抵抗の銅(Cu)を用いた三層クラッド材のクラッド集電箔を開発した。
このLiB用クラッド集電箔は、ニッケル(Ni)に5%程度のニオブ(Nb)を添加することで高い引張強度を発現。Cuとクラッドすることで、低い電気抵抗を兼ね備えられる。また、一般的な負極集電箔に用いられる電解銅箔や圧延銅箔に比べ、高い引張強度を持つ。さらに、負極活物質に合金系材料を用いた際の体積変化に耐えられるため、リチウムイオン電池の高容量化への貢献が期待できるという。