東北大と阪大、産廃のシリコン切粉から高性能リチウムイオン電池負極材料を生産する技術を開発

東北大学と大阪大学の研究グループは2017年2月20日、産業廃棄物であるシリコン切粉から高性能のリチウムイオン電池負極材料を生産する方法を開発したと発表した。

シリコン切粉はシリコンウエハ生産時に生産量とほぼ同量発生するシリコンの切り屑だ。その発生量は年間約9万トンで、リチウムイオン電池負極材料の世界需要を上回っているという。今回の共同研究では、そのシリコン切粉を薄いナノフレーク状に粉砕することで、高容量かつ長寿命なリチウムイオン電池負極材料になることを発見した。

さらにナノフレーク状のシリコンを炭素と複合化することで性能向上と長寿命化が可能になり、従来のリチウムイオン電池の負極材料に用いられている黒鉛の約3.3倍となる1200 mAh/gの容量を持つこと、しかも800回以上の充放電を繰り返してもそれを維持できることが確認された。

また、シリコン切粉のナノフレークへの粉砕や炭素との複合化のプロセスには、大量のシリコンでも処理できる簡便な方法を用いているため、リチウムイオン電池電極での実用化につながるものと期待されるという。

大阪大学のグループでは、シリコン切粉を高純度シリコンナノ粒子にリサイクルする手法の開発に成功しており、東北大学のグループでは以前からシリコン負極材料の開発に関する検討を行ってきた。そのような背景から、今回2つの研究グループによる共同研究が実施された。

関連リンク

プレスリリース(東北大学)

プレスリリース(大阪大学

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