富士経済、炭素繊維複合材料の世界市場を調査――CFRTPは2025年頃から市場が大幅拡大

富士経済は、自動車や航空機など様々な用途で採用が増えている炭素繊維複合材料とそのキーマテリアルや関連部材・装置の市場を調査し、その結果を「炭素繊維複合材料(CFRP/CFRTP)関連技術・用途市場の展望2017」にまとめた。用途別市場動向や、研究開発プロジェクト・主要企業動向についても整理している。

調査は、炭素繊維にマトリクス樹脂として熱硬化性樹脂を含浸させて成形加工した炭素繊維複合材料(CFRP)と、マトリクス樹脂に熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRTP)、およびそのキーマテリアルや関連部材・装置14品目を対象としている。2016年10月から2017年1月に、参入企業および関連企業・団体などへのヒアリング等により行われた。

調査結果によると、PAN系炭素繊維複合材料(成型加工品)の世界市場は、2030年にはCFRP/CFRTPあわせて4兆9058億円、2015年の4.0倍になると予測する。現状ではCFRPが航空機や風力発電、圧力容器などに加え近年は自動車用途でも採用が拡大しており、CFRP市場が数量ベースで80%以上、金額ベースで90%以上を占める。

一方CFRTPは短時間/低コストで成形加工できる技術として開発が進んでおり、主に自動車用途で2020年から2025年にかけて採用が拡大し、2025年から2030年にかけて市場が急拡大するとみる。2030年にはCFRTPの連続繊維製品の採用が大きく増えて市場が拡大し、数量ベースではCFRTPがPAN系炭素繊維複合材料市場において30%近くを占めると予想している。

端材・廃材利用CFRP/CFRTPは2030年には2015年比14.0倍の996億円となると予測する。またキーマテリアルや関連部材・装置では、PAN系炭素繊維が2015年比3.4倍の5756億円、マトリクス樹脂が同3.6倍の1349億円、中間基材が同4.8倍の1兆9137億円、成形加工装置・ツールが同3.0倍の1947億円になると見込んでいる。

CFRPの用途では現在、航空機や風力発電ブレード、自動車が中心だが、ハイスペック品が採用される航空機用途が金額ベースでは40%以上を占めており、今後も市場をけん引する。自動車や水素タンク、建築・土木用途なども伸び、自動車用途は2015年の4.3倍となる3952億円になると見ている。

CFRTPの用途は、現状では短くカットされた炭素繊維が摺動部品や静電部品に使用されることが多いが、今後、連続繊維の成形でも短時間成形技術が開発され、価格が低下する見通しだとする。2025年から2030年にかけては自動車の量産車種において採用が拡大し、2030年には2015年の116.9倍となる3508億円となり、数量ベースではCFRPを上回るとともに、最大の需要用途になるとみている。

エリア別では、CFRP/CFRTPともに欧州と北米の需要が市場をけん引すると予測している。

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