金沢大学と日立製作所は2017年3月16日、自動運転機器の誤作動を引き起こす恐れがある電磁ノイズを検知し、発生源を特定できる小型センサを開発したと発表した。
機器の経年劣化や電子機器の集積によって、低周波数帯域の電磁ノイズが発生することがある。電磁ノイズによって走行制御に利用するセンサデータなどが読み取れなくなると、自動運転に利用する機器が誤作動を引き起こしかねない。電磁ノイズの有無や発生源を突き止める手段が必要とされていたが、従来の技術では、300m以上にもなる大型センサを設置するか、45度程度という大きな誤差が生じる恐れがある手段を用いるくらいしか選択肢がなく、実用的な検知・特定手段がなかったという。
そこで金沢大学と日立製作所は、3対のループアンテナを組み合わせ、電界と磁界のデータを縦・横・奥行き方向の3次元で取得する手法を考案。センサの大きさも110mm四方にまで小型化することに成功した。ループアンテナは従来、磁界の計測のみに利用していたが、同一平面上に対の構造で設置することで、ループアンテナ間で発生する電界の計測も可能になったという。
実際に、200kHz~10MHzの低周波数帯域の電磁ノイズの方向推定を試みたところ、誤差2度以下で検知できることを確認。センサから発生源までの距離が3mあったとしても、誤差は10cm以内に収まることになる。発生源を十分な精度で特定できるようになったことから、該当個所の対策や修理をすることで、機器の誤作動を予防できるようになるとうたっている。
両者は今後、今回開発したセンサを利用した誤作動予防システムの構築に取り組んでいく見通しだ。