ミズノは2016年7月7日、カーボンナノチューブ(CNT)の利用によって炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の衝撃強度向上に成功したと発表した。同社が今回確立した技術では、これまで困難とされていたCNTとCFRPの複合化を、CNTの分散性向上によって達成している。
CFRPとCNTの複合化には、CNTの凝集による不均一化が課題だった。ミズノは特殊な表面処理技術を利用し、分子間力を緩和することで、CNTの分散性を向上。さらに、エポキシ樹脂と親和性の高い官能基をCNTに付与し、エポキシ樹脂との分子間力も高めた。
CFRPは、炭素繊維とマトリックス樹脂の間に界面が存在するため、衝撃を受けた時に界面剥離が破壊起点となる。ミズノが特殊な表面処理を施したCNTは、マトリックス樹脂内に均質に分散する。これにより、官能基がエポキシ樹脂と炭素繊維の間の強度を高めるのを促し、界面剥離を抑制しているという。
ミズノは今回の技術を応用し、ゴルフクラブを製品化する予定。試作品の製品レベルを試験したところ、同じ肉厚の従来品に対して衝撃強度が13%向上したのを確認したとしている。