富士経済、次世代・次々世代パワー半導体の世界市場の調査結果を発表

富士経済は、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体や、これらに続く「次々世代」の酸化ガリウム系、ダイヤモンド系パワー半導体の世界市場を調査し、その結果を報告書「2017年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。

報告書では、パワー半導体、次世代・次々世代パワー半導体15品目、パワー半導体構成部材16品目とパワー半導体製造装置21品目、パワーエレクトロニクス機器30品目の市場について現状分析と将来予測を行っている。次世代・次々世代を含むパワー半導体の世界市場規模は、2016年の2兆4239億円から、2025年には31.2%増の3兆1799億円となり、うち次世代パワー半導体(SiC/GaN)は219億円から8.5倍の1860億円となると予測している。

次世代パワー半導体のうち、SiCパワー半導体は成長分野である自動車関連で需要が増加し、2016年の世界市場規模205億円に対して2025年には6.9倍の1410億円に達すると予測。生産効率が高められる6インチSiCウエハーの本格投入が動き始めており、2017年以降は参入各社が販売に注力するとみている。また、主要各社でウエハーの大口径化、トレンチタイプの製品投入が展開されることで、低価格化も進むと予測している。

このうち、SiC-SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)は2016年に参入企業の増加と製品ラインアップの拡大が進んで市場は170億円となり、今後も堅調に拡大するとみる。SiC-FET(フィールド・エフェクト・トランジスタ)はDC-DCコンバータやインバータ、太陽光発電システムのパワーコンディショナなどに搭載されて着実に拡大を続け、2016年の市場は35億円となっている。

SiCパワー半導体の用途分野別では、2016年時点ではサーバ用電源、UPS、ストレージなど情報通信機器分野の需要が最大。続いて太陽光発電システム向けパワーコンディショナなどの新エネルギー分野向けで、新興国の風力発電システムでの採用が有望視されている。また自動車・電装分野は、急速充電スタンドや車載充電器(オンボードチャージャ)の需要に加えて、駆動用インバータの実証が進んでおり、2020年以降に実車搭載が活発化するとみている。

GaNパワー半導体は、200Vまでの低耐圧領域を中心に市場が立ち上がり、600V級の中耐圧領域の製品化などにより、2016年の市場は14億円となった。今後、中高耐圧領域でのラインアップの拡大等により、新エネルギーや民生機器分野で市場活性化が期待される。中耐圧領域の需要が動き出す2020年頃から本格的に市場が拡大。2025年の市場規模は32.1倍の450億円を予測している。

次々世代となる酸化ガリウム系パワー半導体は、既に実用化段階となり、エピウエハーなどR&D向けの作成が進んでいる。600V以上の中高耐圧向けで採用メリットが大きく、インフラへの搭載や地下資源の掘削機械向けに有望視されている。2018年頃に量産開始となり、2025年には市場規模700億円と予測する。一方、ダイアモンド系パワー半導体は、MOSFETで「ノーマリー・オフ化」が実現され実用化への期待が高まっているものの、市場の立ち上がりは2025年以降になるとみている。

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