2017年にヨーロッパで観測された放射性雲の原因を調査――ロシアの再処理工場から放出か

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2017年、ヨーロッパで放射性雲が観測されたが、発生原因はいまだに不明だった。今回、ウィーン工科大学の研究チームがこの事件の原因探究のため、ヨーロッパをはじめとした地域で収集された1300件以上の測定データを分析し、2019年7月26日、Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)誌などで分析結果を報告した。

ヨーロッパでルテニウム106を含む雲が観測された時、空気1立方メートルあたりの最大値は176ミリベクレルだった。この値は、2011年の福島の事故後にヨーロッパで測定された総濃度の100倍に及び、それ以来の最も深刻な放射性物質の放出となった。

ルテニウム106を含む雲は、中央・東ヨーロッパ、アジア、アラビア半島の大部分で測定された。カリブ海でも発見されている。ほぼすべてのヨーロッパの測定拠点、29カ国・176拠点が調査に関わることになった。

ただ、放射性物質の濃度はヨーロッパのどこでも人間の健康に有害なレベルに達していない。データの分析から、ルテニウム106の総放出量は約250〜400テラベクレルだと推定できる。ルテニウム106の半減期は374日だ。

ルテニウム106は原子炉でつくられ、自然界には存在しない。ルテニウム以外の放射性物質が測定されなかったことから、正確な放射線源は核再処理工場だったと明らかにされた。ルーマニア領土での放出や、墜落した衛星からの放出によるものだという説もあったが、それらの可能性は排除できるという。濃度分布パターンと大気モデリングの評価から、放出場所はウラル南部だと考えられる。ロシアの核再処理工場Majakのある場所だ。

Majakは1957年9月に、チェルノブイリに次いで歴史上2番目に大規模な放射性物質放出の現場となった。今回の放出は、協定世界時(UTC)の2017年9月25日午後6時ごろから同26日の正午ごろまでと突き止められており、1957年の事故からほぼ60年後に当たる。研究チームは「今回の事故は、燃料要素の再処理中、かなり進んだ段階で起きたと考えられる」とコメントしている。

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