NIMS、「ナノカーレース」に出場し「柔らかい分子」の精密制御に成功

物質・材料研究機構(NIMS)は2017年10月13日、分子の車による国際レース「ナノカーレース」に日本代表として参加し、ナノカーとして用いた「柔らかい分子」の構造と動きの精密制御に成功したと発表した。

「分子マシン」は、外部からエネルギーを与えて、ナノスケールで動きを制御できる分子で、2016年ノーベル化学賞の受賞テーマとなり、材料や医療への応用も期待されている。分子マシンの候補には、エネルギーを与えても形が変わらない分子と、形が変わる柔らかい分子があり、形が変わらない分子を使った研究については行われている。しかし、分子の形と動きを同時に制御することは困難なため、柔らかい分子を分子マシンとする研究は進んでいなかった。

そこで研究チームは、柔らかい分子をナノカーとして、ナノカーレースに出場することに挑戦。溶液中で折りたたまれた状態と開いた状態が常に変化する柔らかい分子をナノカーに用いた。そして、同ナノカーの特定位置にエネルギーを与えることにより、折り曲げるように変形させること、さらには一定方向に0.29nmずつ進行させることに成功した。

この成果から、柔らかい分子でも構造と運動を精密に制御できる可能性があるとし、また、分子マシンの設計に使用することで、さまざまな機能を持つ分子マシンの実現が期待できると述べている。

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