小型で高性能――ファンデルワールス半導体を使った生体模倣人工視覚を開発

Media Contact Noelle Toumey Reetz Communications Manager Office of the Vice President for Research and Economic Development ntoumey1@gsu.edu

生物模倣型の人工視覚は、神経を模倣したニューロモーフィックデバイスや人工知能、マイクロロボットなどの開発において注目されている。しかし従来のカラーセンサーは小型化が難しく、最も重要な視機能のひとつである色認識の研究が遅れていた。

今回アメリカのジョージア州立大学の研究チームは、ナノテクノロジーを利用した人工視覚デバイスを開発した。垂直積層構造のカラーセンサーを組み込むことで、より高度な色認識と小型化が両立できることを実証した。この研究はマイクロロボットに利用できるマイクロスケールのカメラを開発するという最終目的のための第一歩となるもので、医療診断、環境調査、製造などさまざまな分野に応用できる可能性がある。さらに将来的には、視覚障害者の視機能のために利用できる可能性もある。研究成果は、『ACS Nano』誌に2022年4月18日付で公開されている。

一般的なカラーセンサーは、平面的に色検知チャンネルが配置されている。物理的にスペースが必要なため小型化が難しく、色検知の精度も低い。そこで研究チームは、ファンデルワールス半導体を用いて垂直型のカラーセンシング技術を開発した。ファンデルワールス半導体とは、近年研究が著しく進んでいる新材料で、弱いファンデルワールス力によって原子層が結合した材料だ。シリコンなど従来の半導体と比べて、バンド構造、厚み、その他のパラメーターを正確に制御でき、赤、緑、青を感知できる。

ファンデルワールス半導体は、非常に薄く、柔軟かつ安定しているため、思い通りの順序に積み重ねることができる。開発したカラーセンサーは、3次元に色検知チャンネルを重ねることで集積密度を高くし、カメラの小型化を可能にした。

今回の成果は、マイクロロボットのカメラや生物模倣型の電子眼などの開発において大きな前進であるが、ウェハースケールでの集積化など、科学的・技術的な課題は残っている。研究チームは、大規模なファンデルワールス半導体デバイスの集積化という課題解決のために、今後も研究を進めるとしている。

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