京大、「炭素ナノリング」の大量合成と有機デバイス素子の作製に成功

京都大学は2017年12月5日、「炭素ナノリング」の大量合成に成功したと発表した。

炭素ナノリングはベンゼン環をリング状につなげたシクロパラフェニレン(CPP)に代表される、カーボンナノチューブやフラーレンの最小単位で、次世代の有機電子材料として注目が集まっている。しかし大量合成が困難だったため、これまで有機デバイス材料としての応用の報告は聞かれなかった。

今回の研究では、同大学がこれまで開発に成功した2つのCPPの効率的な化学合成法を融合させた合成経路によって、10個のベンゼン環からなるCPPとその誘導体を、グラム単位で合成することに成功した。

さらに、得られた化合物は有機溶媒によく溶け、これまで困難だった炭素ナノリングの非晶薄膜やデバイス作製が可能になった。また、有機薄膜太陽電池の電子を受け取るフラーレン誘導体とほぼ同じの電子を流し、有機ナノエレクトロニクスの材料として有望だという。

今後は、デバイス作製と評価によって得られて知見を炭素ナノリングの分子設計にフィードバックしていくことで、新しい有機電子材料の創製も可能になると期待されるという。

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