CO2を人工光合成で炭素資源へ高効率に変換——安価で多量にある銅とマンガンで

東京工業大学は2018年12月4日、卑金属である銅(Cu)とマンガン(Mn)の錯体から成る光触媒に可視光を照射すると、化石燃料に代わる有用な炭素資源である一酸化炭素(CO)やギ酸(HCOOH)に二酸化炭素(CO2)が効率よく還元されることを、産業技術総合研究所との共同研究で発見したと発表した。

今回の研究では、安価で多量に入手可能な卑金属の光触媒でも、地球温暖化の要因であるCO2を有用な炭素資源へ高効率に変換できることが明らかになった。Cu錯体とMn錯体を組み合わせた光触媒の効率(量子収)は57%で、耐久性(量子収ターンオーバー数)は1300回以上である。これらの性能値は、他の卑金属を用いた光触媒を大きく凌ぎ、レニウム(Re)やルテニウム(Ru)といった稀少金属や貴金属を用いた光触媒と同等かそれ以上だ。

発表によると、CO2還元光触媒の研究はこれまでも盛んに進められてきたが、報告された卑金属の光触媒の耐久性は低く、その効率も不十分だった。そのため、Reなどの稀少金属やRuなどの貴金属を光触媒とせずに、効率的なCO2光還元は行えなかったという。

本研究成果は、有用な炭素資源を低コストで大規模に人工光合成するための第一歩を踏み出すものだ。研究チームは今後、発見した光触媒の機能の向上に努める。また、水を還元剤として用いる半導体光触媒と本研究成果の融合を目指すとしている。

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