- 2017-12-21
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- NEDO, NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ, 新エネルギー・産業技術総合開発機構, 燃料電池自動車
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2017年12月20日、水素社会の実現に向けた技術開発の方向性を示すNEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップについて、燃料電池分野を改訂し先行公開した。2040年以降に達成すべき技術課題の目標値(究極目標)を初めて公表している。
NEDOでは、水素エネルギーを利活用する社会(水素社会)の実現に向け、産学官が長期的視野を共有して技術開発に取り組むために、燃料電池・水素技術開発ロードマップを2005年に策定。これまで3度改訂をしてきた。現在4回目の改訂作業を進めており、今回、燃料電池自動車(FCV)などと、家庭用や業務・産業用の定置用燃料電池を対象とする技術開発ロードマップ(燃料電池分野)を先行公開した。「FCV・移動体」「業務・産業用燃料電池」「家庭用燃料電池」の3つのロードマップから構成されている。
FCV・移動体分野では、2040年頃のFCVの普及目標を300〜600万台程度とし、これを達成するために、究極目標の数値として最大出力密度9kW/l、最大負荷点電圧0.85V、作動最高温度120℃等を設定している。これらの目標の実現により、自動車に積載する燃料電池の小型化と高性能化が進み、多数車種への拡大が期待できるとしている。
業務・産業用燃料電池分野では、新たなモノジェネ(システムから電気だけを取り出して利用する方法)市場へ対応した燃料電池システムの高効率化を目指し、2040年以降の達成性能レベルを、小容量(数kW級)の発電効率60%LHV以上、中容量(数10~数100kW級)の発電効率70%LHV以上などと設定。さらなる課題として「系統電力への連携・再生可能エネルギー大量導入時のスマートコミュニティに関する開発・実証」、「将来的な低炭素化ガスへの対応」を記載し、究極目標を「超高発電効率の達成(80%以上)」としている。
家庭用燃料電池においては、2030年頃までに530万台の普及台数、5年で投資回収可能なシステム価格である50万円程度を目指す。この達成のため、小型化等による設置工事費の低減とともに、2040年以降の究極目標として発電効率45〜60%LHV以上を設定している。
今後NEDOでは、水素ステーション、水素発電、Power to Gasの分野についても公開準備を進め、NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ全体を2018年春に公開する予定だ。