京都大学は2017年12月27日、同大学の研究グループが、IoT(Internet of Things)時代を目指した100万チャネル以上の超多重化を可能とする通信方式を提案し、その実現性を明らかにしたと発表した。同研究成果は、同年12月1日に電子情報通信学会発行の「IEICE Communications Express」に掲載された。
IoT時代の到来による通信量の増大に対応すべく、1km2あたり100万個のデバイスの通信を可能とする5G方式が模索されている。国際標準の策定を進める国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)の要求を満たす方式の提案が世界各国から行われており、日本では、電波産業会(ARIB)において、ITU-Rへ日本として提案すべき5G提案方式を受け付けている。同研究グループでは、5G無線インターフェース(IMT-2020無線インターフェース)の日本提案候補案として今回の方式を正式提案した。
今回提案の方式は、同期を前提としないカオス理論を基礎とした非周期的性を持つ信号を用いる伝送システムの研究を背景とする、概周期周波数配置(Almost Periodic Frequency Allocation:APFA)というコンセプトに基づいたものだ。概周期を元にした符号生成は既に研究されているが、周波数軸上で概周期周波数配置を実現する手段はまだ実現されていなかった。
今回、概周期周波数の変復調信号処理、APFAを用いた送受信系のシミュレーションを行った結果、今回の方式がITU-Rの要求する水準の多重通信に対応できること、伝送速度が端末によって異なるセンサーネットワークにも適用できることが分った。制御回線用ネットワーク(C-PLANE)や時刻配信、周波数配信等の社会基盤への適用も考えられるとしている。