超イオン化した氷の実験的観測に初成功――惑星内部に熱い氷の存在を示唆

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分子動力学シミュレーションにより、超イオン構造の氷における酸素の結晶格子の中を、水素イオンが高速拡散(ピンクの軌跡)する様子が可視化されている。

ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)を中心とする研究チームが、天王星や海王星の内部の大半を占めると考えられている、超イオン化した氷を実験室で初めて観察することに成功した。この氷が高いイオン導電性を示すことも確認され、30年前に成された予測が正しかったことが証明された。研究成果は、2018年2月5日の『Nature Physics』誌に公開されている。

超イオン導電体と呼ばれる構造は、固体であるにも関わらず、内部をイオンが高速で移動し、溶融塩や電解質溶液と同程度の高いイオン伝導度を示す。代表的な超イオン導電体のα-ヨウ化銀では、ヨウ素イオンが固体としての結晶格子を構成し、銀イオンはその隙間で液体のように振る舞い、高い導電性を示すことが知られている。

興味深いことに、水の固体である氷も高圧で数千度に加熱すると、酸素の結晶格子中を水素イオンが液体のように動き回る超イオン構造になると予測されている。1988年にこの予測が示された後、多くの研究グループが数値シミュレーションや実験的な観察を試みてきたが、超イオン構造を示す氷の直接的証拠はこれまで確認されていない。

LLNLの研究チームは、高圧を印加できるダイアモンドアンビルセルを使い、水を2.5GPaで予備圧縮し氷の結晶型の1つ「氷Ⅶ」を常温で作成した。この氷Ⅶは立方晶であり、我々が日常的に目にする氷、即ち六方晶の「氷Ⅰ」と異なるとともに、密度が60%高い。この予備圧縮したセルに、強力なレーザーパルスを1ナノ秒照射することで200GPaもの衝撃圧縮を発生させて氷を更に圧縮、レーザー流速計と光高温計を用いて光学的性質と熱力学的性質を測定した。

10~20ナノ秒の短時間に得られた実験結果から、氷Ⅶの融点は200GPaの高圧下では5000Kに達し、ほぼ太陽表面温度に等しい温度まで氷が固体で存在しうることがわかった。更に、光の反射吸収測定からイオンによる高い導電性を確認し、この氷が超イオン導電体であることを明らかにした。

10年ほど前に、天王星や海王星で観測された異常な磁場を説明するため、惑星のマントルが超イオン構造から構成されているというモデルが提案された。天王星や海王星の内部の65%は水だと考えられているが、今回の実験結果は、惑星内部の高温高圧下で、水が超イオン化していることを示唆し、このようなモデルを強くサポートするものと考えられる。

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First experimental evidence for superionic ice

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