旭硝子、次世代パワー半導体材料のノベルクリスタルテクノロジーに出資――酸化ガリウムウェハーを共同開発

旭硝子は2018年3月22日、次世代パワー半導体材料開発会社のノベルクリスタルテクノロジーへの出資を決定したと発表した。次世代パワー半導体に使用する酸化ガリウムウェハーの共同開発を両社で進め、2020年の実用化を目指すという。

ノベルクリスタルテクノロジーは2015年に創業した、タムラ製作所からのカーブアウトベンチャーで、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社だ。パワー半導体材料である、酸化ガリウム単結晶基板とエピタキシャル膜の製造・開発を手掛ける。2017年11月には、タムラ製作所との共同で、世界初となる酸化ガリウムエピタキシャル膜を用いたトレンチMOS型パワートランジスタの開発に成功するなど、酸化ガリウムを用いたパワー半導体の実用化に向けた取り組みを進めている。

酸化ガリウムトレンチMOS型パワートランジスタの模式図

富士経済「2018年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」によれば、電気自動車や再生可能エネルギーの更なる普及に伴い、パワー半導体の需要は2030年には現在の約2倍に増大することが予想されるという。他方でパワー半導体の要求性能は日々向上しており、現在パワー半導体材料として使用されているシリコン材料よりも高電圧で使用でき、大電流でも電力損失の少ない材料が求められている。

酸化ガリウムは、次世代パワー半導体材料として開発が進んでいるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と比較して、さらに高電圧・大電流で使用できる可能性があり、次世代パワー半導体の材料として注目されている。旭硝子の推定によれば、2030年には200億円規模の市場が見込めるとしている。

旭硝子は酸化ガリウムウェハーの将来性に注目し、同材料を開発・製造するノベルクリスタルテクノロジーへの出資を決定したという。同社が半導体関連部材事業で培った材料・加工・量産技術を応用し、ノベルクリスタルテクノロジーと共同開発をすることで、酸化ガリウムウェハーおよび次世代パワー半導体の実用化を加速したい考えだ。

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