EVのバッテリーの安全性を高める、200mのグラフェン膜を製造する技術を開発

英スウォンジー大学は2024年8月29日、同大学と中国の武漢理工大学、深圳大学の国際共同研究チームが、大規模なグラフェン膜の製造技術を開発したと発表した。同技術は、リチウムイオン電池(LIB)などのエネルギー貯蔵システムの安全性と性能を向上させ、電気自動車や再生可能エネルギー分野に貢献するという。

電気自動車(EV)に使用するLIBの開発における課題の1つが、熱暴走だ。熱暴走は、制御不能な過度の熱によってバッテリーを故障させ、火災や爆発を引き起こす危険な状態である。グラフェンは、効率的に熱を放散し、熱暴走の危険性を軽減できる。

研究チームは、無欠陥のグラフェン膜を商業規模で製造できる方法を開発した。同グラフェン膜は優れた熱伝導性を持ち、熱伝導率は最大約1.4kW/mKで、LIBで使用されている銅やアルミニウムよりも約10倍高い。

開発した製造方法は、連続した熱プレス過程を通して、数mから数kmの長さのグラフェン膜を製造可能だ。研究チームは、厚さ17μmで長さ200mのグラフェン膜を作製し、10万回以上曲げても高い導電性を維持するという優れた耐久性を示した。

さらに、同製造方法はグラフェン膜の厚さを調節できるため、効率的で安全なバッテリー開発を可能にする。特に、EVや再生可能エネルギーシステムへの貢献が期待される。

研究チームは現在、グラフェン膜のさらなる薄膜化と機械特性向上を目指し、製造方法を改良している。また、レドックスフロー電池やナトリウムイオン電池など、他の種類の電池にもグラフェン膜の使用を検討している。

同研究成果は2024年8月5日に『Nature Chemical Engineering』誌に掲載された。

関連情報

Researchers unveil scalable graphene technology to revolutionise battery safety and performance – Swansea University

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