- 2018-5-21
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Eugene Chen, Science, コロラド州立大学化学科, ポリマー
アメリカのコロラド州立大学化学科のEugene Chen教授は、軽量、耐熱性、強度、耐久性などの特性において従来のプラスチックに匹敵するポリマーを開発したと発表した。しかもこのポリマーは石油製品であるプラスチックと異なり、有毒な化学物質も複雑な実験プロセスを必要とすることなく、化学的に再利用可能なモノマーに戻すことできるという。研究成果は『Science』に論文「A synthetic polymer system with repeatable chemical recyclability」として2018年4月27日に発表されている。
Chen教授は、2015年に先行研究として第1世代のリサイクル可能なポリマーを開発している。しかし、このポリマーは分子量が低く、プラスチックほどの物性は備えていなかった。この第1世代ポリマーを基礎として研究を進め、室温下で溶媒を必要とせず、わずかな触媒反応のみでモノマーをポリマーへと重合させることに成功した。開発されたポリマーは高い分子量を持ち、熱安定性や機械的特性もプラスチックに比類するものだ。
そして触媒による穏やかな条件下で、ポリマーからモノマーへとリサイクルできる点が最大の特徴だ。ポリマーから生成されたモノマーの精製も不要で、そのままモノマーをポリマーに再重合でき、このリサイクルプロセスを無限に繰り返すことが可能だという。
Chen教授はこの技術の特許を申請中で、今後はモノマー合成プロセスを最適化し、費用対効果の高い生成方法を開発して、工業化へのプロセスを確立させるとしている。
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