NASA、金星探査機に搭載する障害物回避センサーのデザイン案を募集――優勝賞金は1万5000ドル

Credits: NASA/JPL-Caltech

NASAジェット推進研究所(JPL)は、金星探査ローバー「AREE」に搭載する障害物回避センサーのデザインコンセプトを公募している。

AREEは、「Automaton Rover for Extreme Environments」(過酷環境自動探査車)の略。表面温度が約450℃、表面気圧は地球の90倍という、金星の極めて過酷な環境下で探査を行うことを目的としている。

これまでにも多くの探査機が金星を目指したが、地表面に到達できたのは12機ほどで、それらも高温のため電子機器が機能不全となり、着陸機は最短で23分、最長でも127分で機能停止してしまったという。

JPLの科学者たちは、過酷な環境下で長時間の探査を行うため、AREEをぜい弱な電子機器で制御する代わりに、19世紀のオートマタ(自動機械人形)のような機械式にすることを考えた。AREEは高温に耐えられる合金で作られ、タービンで得た風力エネルギーをばねに蓄積して動く機械式探査機だ。AREEは数分ではなく数カ月かけて金星を探索することを目的としている。

「Exploring Hell: Avoiding Obstacles on a Clockwork Rover」(地獄を探検:ぜんまい式探査機で障害物を回避)と題された公募での対象は、AREEに搭載する障害物回避センサーのデザインで、450℃を超える温度、地球の92倍もの表面気圧、秒速0.3~1.3mの風速に耐えることが求められる。極めて高い気圧のため、金星上では弱い風でも地球上の強風のように感じられるという。さらに、金星の1日は地球の116日に相当するので、その点も考慮に入れなければならない。

応募期限は2020年5月29日。優勝者には1万5000ドル(約160万円)、2位入賞者には1万ドル(約110万円)、3位入賞者には5000ドル(約54万円)が贈られる。

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