- 2021-3-22
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- Advanced Science, Il Jeon, フラットパネル, フレキシブルエレクトロニクス, ポリイミド(PI), 単層カーボンナノチューブ(SWNT)フィルム, 太陽電池セル, 酸化モリブデン, 釜山大学校(PNU)
これまでになく柔軟で耐久性のある太陽電池セルが、韓国の釜山大学校(PNU)で開発された。
現在の太陽電池セルの多くは硬質のフラットパネルで、自由に変形させたり、折り畳んだりできない。太陽電池セルをウェアラブルデバイスなどに応用するためには、折り畳み可能で自由に繰り返し曲げられる必要がある。
PNUのIl Jeon教授は、「単なるフレキシブルエレクトロニクスと異なり、このデバイスは半径0.5mmで折り畳むことが可能で、大きく変形させることができる。従来の極薄ガラス基板や金属酸化物の透明導体では、柔軟性を持たせることはできるが、完全に折り畳むことができない」と、説明する。
PNUの研究者達は、新しいフレキシブルな太陽電池セルを作るために、透明性と機械的弾力性の高い単層カーボンナノチューブ(SWNT)フィルムを使った。次に、ポリイミド(PI)の基板に導電層を埋め込み、ナノチューブの空隙を埋めて、曲げなどの力が加わったときにSWNTが基板から剥がれないようにした。最後に、研究者達はSWNT-PIナノコンポジット層に不純物として酸化モリブデンを加え、より多くの電荷を発生させるようにした。
こうして完成した厚さ7μmのコンポジットフィルムは、曲げに強く、約80%の透明度がある。更に、電力変換効率は15.2%を示し、これはカーボンナノチューブ導体を使用した太陽電池で過去最高だという。研究成果は、科学ジャーナル『Advanced Science』に掲載されている。
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