自動化に詳しい機械系エンジニアを求める企業は? 意外な“第三勢力”の求人も登場[“完全”自動化の時代へ]


~ 工場自動化(FA)の最新事情をエンジニアリングの分野別に考える ~

本記事は、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント熊谷英治氏への取材を通じて、工場自動化(FA:ファクトリーオートメーション)の最新事情をお伝えしていく連載記事です。

今回から、工場自動化にかかわる機械系エンジニア市場の動向をテーマにしていきます。(執筆:中嶋嘉祐)


――「工場自動化」について、まずは企業側の状況を伺いたいと思います。工場自動化にかかわるポジションでエンジニアを求めているのは、どんな企業でしょうか?

工場自動化にかかわる企業として、FA装置メーカー、ユーザー企業、その他の企業と、大きく3つのタイプがあります。

FA装置メーカーの動きとしては、工作機械メーカーやロボットメーカーなどが、それぞれ独自に規格を定めようとしています。独自規格に対応した自社装置を連携させて効率化していくことで、装置を1台単位で売り込むのではなく、ソリューションとして複数台をまとめて導入してもらおうという狙いです。

ユーザー企業として、工場自動化に積極的なのは半導体や自動車などの業界です。2018年になって、それ以外の業界でも工場自動化に関する求人が少しずつ増えてきているように感じます。

半導体を製造する際には、ほんの微小な異物やゴミでも、製造工程で入り込んでしまうと歩留まりが悪化します。人手を介さずにクリーンな状態で製造できるように、半導体業界は昔から工場自動化を推進してきました。

他にも、電池のような製造過程で危険物を取り扱うことになる分野や、植物工場のように人件費をとことん減らさないと採算が合わない分野などが工場自動化に積極的です。

正確に言うと工場自動化ではなく「自動化」関連の求人なのですが、意外なところでは、膨大な種類の製品を扱う企業が、物流の効率化を図って自動化関連の技術を持つエンジニアを採用する動きもあります。

工場自動化、機械系エンジニアにとっての魅力

――機械系エンジニアから見て、それぞれの企業で待っている仕事には、どんなやりがいがあるのでしょうか。

ソリューションとして複数の装置を導入してもらおうとしているFA装置メーカーなら、工場全体の大きな製造ラインを考えて、生産効率を最適化していく面白さがあるでしょう。

同じFA装置メーカーでも、半導体製造装置メーカーなら「ウエハをどう動かして洗浄し、次の装置へ移動させる」といった複雑な動きを脳内で思い描き、装置という形に落とし込むことになります。担当する範囲は前者と比べてずっと狭くなりますが、こちらもメカ屋としての面白さを非常に感じられる仕事だと思います。

“完全”工場自動化を目指す企業はまだ少数。工程改善が8~9割

ただ、梅津が前回話したこととも重なりますが、現状では「工場自動化」で求められているのは、“完全”工場自動化ではなく、工程改善であることがほとんどです。

求人の数で見ると、工程改善を求める求人が8~9割ほどを占めています。

特に、“完全”工場自動化を目指す企業では、機械系エンジニアよりも、装置を制御する電気・制御系エンジニアをより多く必要としています。

とはいえ、“完全”工場自動化を現実のものにするためには、機械系エンジニアの専門性・経験も欠かせません。

次回は、“完全”工場自動化に向けて、機械系エンジニアにはどんなことが求められているのか、説明したいと思います。



熊谷 英治(メイテックネクスト 機械・メカトロ分野 コンサルタント)

<メッセージ>
生産技術のエンジニアとして約11年間メーカーで勤務いたしました。
お客様やベンダーをはじめ、自社の営業・開発・設計・技術・品質保証など数多くの人とプロジェクトを動かした経験や、国内・海外工場で得た知識・体験を生かして全力で転職支援させていただきます。
転職活動を始めると、噂などを含め転職に関する情報量があまりに多いため、本来の思いを見失ってしまう方がいます。
そういったことが無いよう、日々生じる不安・疑問を取り除き、思いに合った企業に出会えるようサポートいたします。


取材協力先

メイテックネクスト
メイテックネクスト分野別コンサルタント

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