九州大学は2018年7月2日、東京工業大学、豊田工業大学、物質・材料研究機構と共同で、金属酸化物のチタン酸ストロンチウムに高濃度の酸素欠陥と電子をドープすることで、紫外光を照射した際の水素生成速度および酸素生成速度がそれぞれ40倍と3倍になることを発見したと発表した。
太陽光を利用して水から水素を生成する光触媒は、何を制御すれば高性能化できるのかがこれまで明確ではなかった。このため、高性能の光触媒を合理的に設計するのが困難であり、トライアンドエラーによる開発が主な手法だった。
今回の研究では、上記の水素と酸素の生成速度の高速化が、紫外線照射により励起された電子寿命の延長およびホール流束の増大によることを明らかにした。この原理の解明は、世界で初めてだという。
今回の発見は、材料科学と触媒化学の融合的な研究による成果であり、今後、この研究の成果を活用して新規光触媒を開発することで、太陽光と光触媒を利用した水素生成反応のさらなる高性能化が期待されるという。