生体素材を電気で制御――ミトコンドリアのATP合成を制御できるプロトニック有機電極を開発 早大など

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プロトニック有機電極を用いたミトコンドリア内ATP合成の制御

早稲田大学と東京農工大学は2018年7月13日、溶液中プロトン濃度を電気制御するバイオトランスデューサを開発し、ミトコンドリアへ適用することで、ATP合成の制御に成功したと発表した。

電子制御により機能を実現する従来のデバイス素子に対し、生体素材は柔らかく、かつイオン制御によって、高度な機能を実現している。バイオエレクトロニクスは、この相反する素材を有機的に統合する技術であり、生体/デバイス界面での利用が期待されている。

これまでに血糖値センサを始めとする数多くの生体計測デバイスが開発されてきた。しかし、その多くは生体からデバイスへの一方向の情報伝達であり、また、細胞や組織など多くのイオン種を同時に放出する生体素材には適応できないという課題があった。

一方、ミトコンドリアは、エネルギー分子(ATP)を作る細胞内小器官で、体を動かしたり、神経を働かせたりするのに必要不可欠な器官だ。また、活性酸素を多く放出する場所でもあり、健康や美容においても重要な働きをする。そして、ATP合成や活性酸素の発生は、プロトンと密接な関係にあり、ミトコンドリア周囲のプロトンによって制御されている。

ミトコンドリア内ATP合成の概略図

研究グループは今回、電流のオン/オフによって溶液中プロトン(水素イオン)の脱吸着を制御できるプロトニック有機電極(バイオトランスデューサ)を開発。単離ミトコンドリアと組み合わせることでATPの合成を制御することに世界で初めて成功した。

このプロトニック有機電極のため、プロトンと優れた親和性を持つ導電性高分子であるスルホン化ポリアニリンを新たに開発。同有機電極は、溶液中のpHを計測することに加え、溶液pHの制御も可能で、溶液pHを6.0から7.5の範囲で自在に制御することを実現した。

プロトニック有機電極の電気化学性能評価

さらに、溶液pHを8.3から7.4に変化させることで、ATP合成速度が2倍ほど大きくなることを確認。また、ミトコンドリアの活性を繰り返し制御することも成功している。

プロトニック有機電極を用いたミトコンドリア内ATP合成速度の制御

今後は、単離したミトコンドリアのみならず、細胞内に存在するミトコンドリアに対し有機電極を用いて機能評価や解析に取り組む予定だ。また、皮膚や臓器などpHに応答する生体ウェアラブルデバイスなどの応用にも取り組むとしている。

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