海水から取り出した水素で動く双胴船「Energy Observer」号、世界一周の旅へ

化石燃料を使わず、太陽光や風力といった再生可能エネルギーと、海水から生成した水素で航行する双胴船「Energy Observer」号が世界を航行中だ。

現在、温室効果ガスの排出量削減は急務であり、再生可能エネルギーの開発は重要だ。しかしながら、再生可能エネルギーは変化しやすく連続的に得られない場合が多いため、エネルギー貯蔵方法の開発と最適化が必要となる。宇宙で最も豊富な水素は、再生可能エネルギーを水素に変えて貯蔵することで有力な貯蔵方法として可能性を秘めている。

Energy Observer号の船体は長さ30.5m、幅12.8m。もともとレース用だったボートを、水素を燃料としたエネルギー自立型の船に改造した。海水を淡水化した後、太陽光を使った電気分解により水素ガスを取り出して燃料電池に使用する。8つのタンクで最大62kgの水素が貯蔵可能。変換効率97%の電気モーター2個で推進力を生み出し、総面積130平方メートルの太陽光パネル、2個の風力タービン、各種装置駆動用のリチウムイオン電池も備える。

Energy Observerは2017~2022年の6年間で50カ国、101カ所に寄港する計画となっている。記事執筆時点では地中海を周遊中で、これまで14カ国、25カ所に寄港し、航行距離は8000海里以上に達している。2021年からはオセアニア・アジア地域を航行し、日本にも寄港予定で、TOYOTAがオフィシャルパートナーを務めている。

Energy Observerのチームは「この航海を通じて人々の意識を高め、自然と調和して生きることができること、地球温暖化との戦いが新たな経済の拡大を可能にすることを証明したい」と語る。

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