「モノづくり日本」の主役とも言われる機械系エンジニア。一時期は企業の生産拠点が海外に移ったこともあり数を減らしていましたが、近年になって再びニーズが高まり、注目を集める職種になっています。
そこで本記事では、機械系エンジニアの概要や仕事内容をご紹介します。加えて、機械系エンジニアへ転職したいと考える方へ、向いている人の特徴や、未経験から就職を目指すポイントをまとめました。(fabcross for エンジニア編集部)
【機械系エンジニアへの転職】基礎知識と仕事内容、年収
まずは機械系エンジニアがどのような職業・仕事内容なのかを見ていきましょう。加えて、気になる年収目安についてもご紹介します。
機械系エンジニアとは
機械系エンジニアとは、その名が示すとおり機械の設計・開発を行うエンジニアのことです。機械設計者と呼ばれることもあります。モノづくりの現場に欠かせない存在であり、製造工程におけるさまざまな工程に携わります。
ただし、一口に機械系エンジニアと言っても、取り扱う機械はさまざまです。運送用、工業用、食品生産用など、身を置く業界や会社によって、必要になる知識やスキルも変わります。
機械系エンジニアの仕事内容
より具体的な機械系エンジニアの仕事内容を見ていきましょう。とはいえ、企業の事業内容次第で業務は大きく異なります。クライアントや企画担当者からの依頼に合わせて機械を設計し、製造するのが基本とはなりますが、分業化が進んでいる会社も少なくありません。
また、既存パーツを組み合わせて機械を作ることもあれば、パーツをゼロから開発し、それを使って機械を製造するケースもあります。それぞれの業界・会社・プロジェクトによって、仕事の進め方が大きく変わるのも、機械系エンジニアの特徴と言えるでしょう。
機械エンジニアの年収目安
次に、気になる機械エンジニアの年収目安を見てみましょう。
平均は546万円で、月給にすると41.7万円程度です。国税庁の平成30年分民間給与実態統計調査結果(令和元年9月)で示された日本の平均年収が441万円であることを踏まえると、十分に高収入な仕事といえます。
【機械系エンジニアの転職】向いている人の特徴
機械系エンジニアは、物の構造や新しい技術に対して好奇心を抱く方が多い印象です。また、細かな作業をコツコツと進められる方に向いているとも言われています。
物の構造に関心がある
機械系エンジニアの仕事は、顧客の求める部品をイメージし、その完成系を具現化することにあります。そのため、機械や家具、建築など、物の構造に関心を抱きやすい人に向いている仕事と言えるでしょう。物を分解するのが好きであったり、組み立ての際に問題点や改善点に気付けたりするタイプは、適正ありです。
また、実際に新しく部品を開発するというときは、既製品の流用ができないケースも少なくありません。こうした際には、ゼロから構造を考えられる発想力・創造力も必要です。物の構造を理解し、それを頭でイメージできることは、機械系エンジニアにとって大きな才能になります。
学習意欲が高い
業種に限らず、エンジニアは常に最新技術や業界動向のキャッチアップを求められる職種です。ひとつの技術を極めることも重要ですが、今世の中で注目されている技術にアンテナを張り続けることも仕事のひとつと言えるでしょう。
そして、必要に応じて新たな技術の習得が必要になる場面も少なくありません。この際、仕事だからと言って仕方なしに勉強するよりは、自分から積極的に学びを得ようとする姿勢が重要です。「最新のテクノロジーに触れられて楽しい!」と感じられる方は、機械系エンジニアの素養があると言えるでしょう。
コツコツ仕事に取り組むのが好き
機械系のエンジニアリングは、仕様をまとめ、設計・製造までを手がけるのが主な仕事です。一朝一夕で製品は完成しません。とくに新製品の開発では、ミリ単位で寸法の調整を行い、テストを繰り返すといった地道な作業を延々と続けることになります。
そのため、コツコツと仕事を進めるのが好きという方は、機械系エンジニアに向いています。細かな作業が苦にならないという方にも、おすすめと言えるでしょう。
【機械系エンジニアの転職】未経験から目指す方法
機械系エンジニアになるためには、基礎知識やスキルを事前に身に着けるのが近道です。また、エンジニア特化の求人サイトや転職エージェントを利用するのもおすすめです。
理系の専門知識を習得する
機械系エンジニアを目指す上で習得しておきたいのは、製造のための知識と、設計ツールの操作スキルです。
まずは製造のための知識を身につける方法から考えていきましょう。もっともオーソドックスな道は、大学や専門学校で機械系エンジニアリングの授業を受け、専門知識を習得することです。とくに力学に関する知識は、機械系エンジニアリングの基礎とも言うべき分野。材料力学や熱力学、流体力学、機械力学などを中心に学習を進めましょう。
また、せっかくなら専門の資格取得も視野に入れましょう。国家資格である技術士や機械設計技術者試験の取得に向けた勉強は、機械系エンジニアリングを学ぶのに最適です。就職の際にも自身の知識のアピール材料になるため、ぜひ受験を検討してください。
次に、設計ツールの操作スキルです。機械系エンジニアの業務に、設計図の作成は欠かせません。筐体設計までを行うようになると、3次元CADを使う場面もあります。少なくとも、現場に入るまでにCADの基本操作は覚えておくようにしましょう。もしくは、一般社団法人コンピュータ教育振興協会運営のCAD利用技術者試験を目指して腕を磨くのもおすすめです。
エンジニア専用の転職サイトやエージェントサービスを利用する
機械系のエンジニアの業務範囲は多岐にわたります。そのため、過去の職歴やキャリアが好意的に受け入れられる可能性もないとは言ません。まずは求人を探すことが第一歩です。
ただし、一般的な求人サイトにはさまざまな職種の募集が行われているため、目的の情報を見つけるまでに時間がかかるおそれがあります。また、エンジニアの求人が少ない可能性も高いでしょう。
そこでおすすめなのがエンジニアに特化した転職サイトです。業界や年収、事業内容、仕事内容などの希望条件を、エンジニアの目線で絞り込めるため、効率的に機械系エンジニアの求人を見つけられます。
また、エンジニアに強いエージェントサービスを利用するのもおすすめです。条件を伝えることで、ご自身の希望にあった求人情報を紹介してもらえます。また、エージェントが転職時のポイントをアドバイスしてくれるなど、きめ細やかなサービスが受けられるのもメリットでしょう。そのほか、非公開求人を案内してもらえる場合もあります。
機械系エンジニアに転職するなら今がチャンス
一昔前には多くの日本企業が海外へと生産拠点を移しました。それによって、国内の機械系エンジニアの数は激減したと言われています。しかし今後は、製造業企業が海外の人件費高騰や円安の影響を受け、生産拠点を日本へと移し始めると予測されます。
機械系エンジニアの需要は、求人数に対して絶対数の少ない今がもっとも高まっているとも言えるでしょう。多くの会社が、未経験であっても優秀な人材を確保したいと考えているに違いありません。技術職としての実務経験を早めに積むことで、ほかの人に差をつけましょう。