大阪大学は2018年7月21日、金沢大学と共同で、原料を混ぜて塗るだけでナノメートルスケールのセラミックス超薄膜をコーティングできる技術を開発したと発表した。
有機太陽電池の緩衝層には、セラミックス薄膜を用いた方法が盛んに研究されている。従来のセラミックス薄膜の製造プロセスでは、加熱などによる焼結の工程を経る必要があるため、焼結の必要がない塗布型酸化膜のコーティング技術が研究されていた。
今回の研究では、有機金属分解(MOD)法によって、常温常圧で原料を混ぜて塗布するだけでナノメートルスケールのセラミックス超薄膜を成膜することに成功。5~100ナノメートルの間で精密に制御することも可能だ。
今回開発した成膜技術によって実際に有機太陽電池を作製して変換効率を調査したところ、約20ナノメートルの超薄膜で最も高い変換効率を示し、従来の加熱焼結によるセラミックス薄膜を用いた場合と同等の変換効率を実現した。
今回の成膜技術により、従来の加熱焼結プロセスが不要になり、製造プロセスの短時間化および低コスト化が期待されるという。