発光特性に優れたカドミウムフリー量子ドット蛍光体を開発 大阪大と名古屋大

室内光下でも明るく際立つ発光 発光量子収率56%

大阪大学は2018年8月24日、名古屋大学と共同で、カドミウムを含まずかつ単色性に優れた量子ドット蛍光体の合成に成功したと発表した。

量子ドット蛍光体は、発光時の単色性が高いために色鮮やかさなどを重視する高価格帯液晶ディスプレイなどに利用されてきた。しかし、従来の量子ドット蛍光体は、カドミウムやセレンなどの毒性の高い物質を含むために、国際法の強化によって使用が禁止されることが決まっている。

カドミウムフリーの量子ドット蛍光体は、大阪大学をはじめとしてさまざまな研究グループが開発を行ってきたが、単色性の面で問題があった。

今回の研究では、I-III-VI族3元系量子ドットの1つ「硫化銀インジウム量子ドット」の表面を硫化ガリウムで覆う「コア/シェル構造」と呼ばれる二重構造にすることで、従来のカドミウムフリー量子ドットと比較して、大幅に単色性の高い発光が得られた。硫化ガリウムは、従来シェル(殻)として用いることは難しいと考えられていた結晶性の悪い材料だが、それをシェルとして用いたことが今回の研究の鍵となった。

今回の研究によって、カドミウムフリーの量子ドット蛍光体がカドミウム系量子ドット蛍光体に迫る発光特性を獲得でき、毒性に配慮することなく、より色鮮やかなディスプレイやより自然光に近いLED照明などの開発が可能になることが期待される。さらに蛍光イメージング分野で、生命科学の研究にも貢献することが期待されるという。

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