絶縁体で発生する熱ホール効果を発見、そのメカニズムを解明 東大など

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通常の金属(左)と絶縁体(右)における熱ホール効果

東京大学は2018年8月27日、北海道大学およびSungkyunkwan大学と共同で、絶縁体では観測されないはずの熱ホール効果を、絶縁体であるカゴメ反強磁性体で観測し、その発生メカニズムを解明したと発表した。

熱流が磁場によって曲げられる「熱ホール効果」は、通常電気の流れる金属で現れる現象だ。しかし今回研究グループは、絶縁体であるカゴメ反強磁性体Caカペラサイト石で実現しているスピン液体相で熱ホール効果が発生していることを発見した。さらに、計算手法の1つであるSchwinger-boson法を用いてベリー位相と呼ばれる量子力学的効果を取り入れた計算を実施したところ、スピン液体相での熱ホール効果を高精度で再現することに成功した。

金属中の電子は磁場によるローレンツ力の効果によって軌道が曲げられるが、絶縁体中の熱流は電気を帯びていないためにローレンツ力の効果は発生しない。一方、スピンによる熱流は、ベリー位相効果(物質中のスピン軌道相互作用などによって量子力学的粒子の波動関数の位相が変化する効果)によって、仮想的な磁場を感じて軌道が曲がる可能性があることが従来より知られていた。しかし、その詳細なメカニズムに関しては不明な部分が多かった。

今回の研究では、Schwinger-boson法を用いることでベリー位相を取り入れた計算を実施。測定された熱ホール伝導率を高い精度で再現し、カゴメスピン液体相におけるベリー位相効果が、熱ホール効果の起源であることを初めて明確にした。

今回の研究によってさまざまな物質における熱ホール効果が観測されるようになれば、物質におけるトポロジー効果の解明や、磁性体内でのスピンを用いた熱流の制御、量子スピン液体形成の解明などにつながることが期待されるという。

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