- 2018-9-19
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- Sicience Advances, 「丸い穴に四角い杭」, 液晶エラストマー(LCE), 米コロラド大ボルダー校
米コロラド大ボルダー校の研究チームは、光と熱を利用して繰り返し可逆的に変形する液晶エラストマー(LCE)を開発した。製造業、ロボット、生物医学デバイス、人工筋肉など幅広い応用が期待できる技術であり、研究成果は2018年8月24日付けの『Sicience Advances』に掲載されている。
様々な物理的メカニズムを利用し、プログラム可能な刺激によって物の大きさ、形状、質感を変える材料が開発されてきた。しかし、物体に十分な可逆的変化を持たせることは困難とされてきた。
研究チームは、熱や光で液晶の分子配向が変化すると、LCEがマクロな変形をすることに注目。制御を容易にするために、LCEネットワークに光活性トリガーを挿入した。あらかじめ特定の波長の光を当てて所望の分子配向を設定。対応する熱的刺激を受けるとトリガーがアクティブになり変形が始まる。
例として、温度サイクルに従ってポリマーシートが変形を繰り返すことを示した。シートをミウラ折りして光(この場合320~500nm)を照射し形状を記憶させる。シートは加熱すると平らになり室温まで冷えるとミウラ折りに戻った。また、「丸い穴に四角い杭」とは不釣合いなことを意味するが、文字通り、四角いポリマーを変形させて円形の穴に落とすこともできた。
「光の照射を利用して2種類の形状への変化を繰り返す材料を形成できたことは、付加製造、ロボット工学や生体材料といった分野への新しいアプリケーションとアプローチをもたらすだろう」と、研究チームは語っている。
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