熱電材料の性能を従来比2倍に増強――北大、電子を狭い空間に閉じ込め熱電材料を高性能化する理論を実証

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北海道大学は2018年6月21日、狭い空間に電子を閉じ込めることで、熱を電気に変換する熱電材料の性能を従来の2倍に増強できることを初めて実証したと発表した。将来的に工場や火力発電所、自動車やコンピューターなどからの廃熱を電気に変えて有効利用する技術への貢献が期待できるという。

熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる熱電材料は、温度差を与えると発電し、電気を流すと冷える性質を示すことから、廃熱の再資源化において注目されている。廃熱を効率よく電気に変換するためには、電気を通しやすく、温度差を与えた時に発生する電圧(熱電能)が大きく、熱を通しにくい熱電材料が必要だが、導電率と熱電能の大きさの間にはトレードオフの関係があり、電気を通しやすくすると電圧が低下するため、性能向上のためには導電率と熱電能の相関関係を改良する必要があった。

この解決方法として、「狭い空間に電子を閉じ込めると、導電率を変えずに熱電能を高められる」という理論が1993年に提案された。この理論は2007年に「電気を通す極薄層を電気を通さない層で挟み込んだ人工超格子」を用いて実証されたが、バルクの約5倍の大きな熱電能増強が起こるものの、電気を通さない層を含む人工超格子全体の変換性能としてはバルクの最大値とほとんど変わらないという問題があった。

この問題を解決するため研究グループは、2016年に新たに提案された「大きく広がった電子を狭い空間に閉じ込めることで、より大きな熱電能増強が起こる」という理論の実証に取り組んだ。具体的には、従来よりも約30%大きく広がった電子を人工超格子に閉じ込めた結果、バルク比約10倍の熱電能増強を達成し、人工超格子全体の性能を従来比2倍に高めることに成功した。

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