車載用リチウムイオン電池市場、17年は23.1%増も18年は8.3%増と成長鈍化か――矢野経済研究所

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

矢野経済研究所は2018年11月16日、車載用リチウムイオン電池(LiB)の世界市場について調査したレポート「2018年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望」のサマリーを公開した。車載用LiBの世界市場は、2017年に容量ベースで前年比23.1%増の57.4GWhに達したと伝えている。

電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)などのxEV(電動車)市場は、深刻な大気汚染問題への対応に追われる中国、温室効果ガスの大幅な削減目標を掲げて厳しい燃費規制をかけるヨーロッパなどが牽引している。その他の国々でも、環境規制の強化とxEVに対する各種の優遇策などがxEV市場の拡大を支えている状況だ。

車載用LiB市場もそれに伴い成長を続けているが、2017年は乗用EV向けLiB市場が高い伸び率を示したのに対して、バスなどの商用EV向けLiB市場の成長は鈍化。中国政府による補助金制度の改正によってEVバス向け補助金が減額されたことで、販売台数が減少したことなどが原因だという。

2018年も乗用EVが市場の成長を牽引するものの、補助金制度などの各種規制状況の変動などが足を引っ張り、成長の速度はさらに衰える見込みだ。2018年の車載用LiB世界市場規模は、前年比8.3%増の62.2GWhにとどまると予測している。

このように、xEV市場は主要国における補助金制度や燃費規制等の関連制度の変化に、直接影響を受けている。中国では補助金制度改正がxEV市場の成長や車載用LiBの開発トレンドに影響を与え、ヨーロッパでは2021年にCAFE(Corporate Average Fuel Efficiency:企業別平均燃費基準)規制が適用されることから、xEVラインアップの強化がOEM各社で推進されている。

車載用LiB市場に目を向けると、電動航続距離の延長と低コスト化を目指し、高容量化が大きなトレンドとなっている。セルレベルやパックレベルでさまざまな取り組みが進められているが、原料価格の上昇、高容量化に向けた材料改良、新材料開発などが車載用LiBにとってはコスト課題となっている。

また車載用LiBの需要は、品質面の課題から大手車載用LiBセルメーカー数社に集中する傾向が見られる。OEMについては、車載用LiBセル調達に関してリスクヘッジが必要な状況が続く見通しだ。

今後のxEV市場、さらに車載用LiB世界市場については、2019~2020年においては補助金制度などの各種xEV優遇政策が追い風となり、成長が見込まれる。

主要OEMのxEV投入計画を見ても、2020年前後には環境規制の強化に応じて新規xEVモデルのラインアップが強化される予定だ。2020年の車載用LiB世界市場は容量ベースで129.2GWhとなり、HEV用が1.3GWh、PHEV用が10.3GWh、EV用が117.5GWhになると予測している。

しかし、高額な車体価格、短い電動航続距離、充電インフラの不足など、xEV普及拡大の障害と言われている問題を解決するには、まだまだ時間がかかる。急速な市場拡大は期待できないと分析しており、xEVのタイプや地域によって、伸び率に大きな格差が生まれる可能性もあるという。

それでも2025年の車載用LiB世界市場については、容量ベースで2020年比66.0%増の214.5GWhにまで拡大すると予測。HEV用が2.7GWh、PHEV用が26.1GWh、EV用が185.6GWhになるとしている。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

fabcross
meitec
next
ページ上部へ戻る