従来比で最大7倍の蛍光強度を達成――京大ら、次世代の指向性白色光源の開発に成功

京都大学は2018年12月6日、スタンレー電気と共同して、次世代型の指向性白色光源開発に成功したと発表した。

現在普及している白色LEDは、青色LEDと青色を吸収して黄色に光る蛍光体の組み合わせからなり、吸収されなかった青色と黄色の混色により白色を得ている。現在、より高輝度の照明応用に向けて、青色LEDの替わりに青色レーザーダイオードを用いる高輝度白色光源の開発が進んでいるが、青色レーザーが指向性をもって直進するのに対して黄色蛍光は全方向に放たれるため、角度によって青色と黄色の割合が変わり、均一な白色が得られないという問題があった。

このたび研究グループは、金属ナノシリンダーを数百ナノメートルという光の波長スケールの周期で並べたアレイ構造を、厚さ200マイクロメートルの蛍光体基板上に作製することでこの問題を解決した。蛍光体基板からの蛍光は全方向に放たれるが、金属ナノシリンダーアレイが蛍光の方向を揃える「ナノアンテナ」として働き、青色と蛍光の放射方向を揃えることで指向性を持った白色光を作り出すことに成功した。

さらに、蛍光を前方方向に集めることで、蛍光強度をアレイのない基板に比べて最大で7倍にまで高めることに成功した。蛍光基板内で発生した蛍光を全て前方に放つことができれば、理論上はさらに蛍光強度を高められるため、今後は強度を理論に近づける研究を継続するとともに、この技術を実際の照明に組み込む研究にも取り組むとしている。

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