独自の光計測技術により、積層ナノ磁性体の磁気振動の増幅効果を発見 東北大学と産業技術総合研究所

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東北大学材料科学高等研究所 教授の水上成美氏ら研究グループは2020年4月14日、産総研・東北大 数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリと共同で、積層ナノ磁性体に特異な磁気振動の増幅現象を発見したことを発表した。AI(人工知能)ハードウェアの要素となる磁気素子の開発に新視点を与える成果となる。

研究では、3nmの厚みを持つ2枚の磁性体で、1nmに満たない非磁性金属を挟み込んだ積層ナノ磁性体(シンセチックアンチフェッロマグネット)に着目。2つの層の磁気がばねのような力で結びついている積層ナノ磁性体の磁気の振動を研究した。

これまでに、このばねの力のため、2つの層の磁気が、同じまたは逆のタイミングで振動することで構成される2つの振動の仕方(以下、単に同方向、逆方向と呼ぶ)があることがわかっている。

積層ナノ磁性体と磁気の振動の概念図

研究グループは独自のパルス光を用いた計測によって、数psの時間分解能で、これらの磁気の合成振動の運動をリアルタイムに観察。その結果、摩擦力が働くため、磁気の振動は時間とともに次第に減衰していくが、ある条件を満たした場合に、時間とともに磁気の振動が増幅することがわかった。

測定手法と観測データの例

詳しく磁気の運動の数理を分析すると、磁気の2つの振動の仕方の間には、ブランコを漕ぐときの運動と同様の数理が内在していた。人がブランコに乗る時は係数励振により、ブランコの揺れが最初は小さくても、ブランコの揺れが「漕ぐ」ことで大きくなる。ブランコと同様に積層ナノ磁性体は、2つの合成された磁気振動のうち、一方がもう一方を「漕ぐ」ことで振動を増幅できると言えるという。

a.観察された同方向の振動の振幅と2つの磁気の振動の周波数との関係、b.ブランコの類推

積層ナノ磁性体の磁気振動の数理は、積層ナノ磁性体が通電の必要がない磁気振動や波動のナノ増幅器、あるいはナノ発振器となりうることを示している。今後、素子として使用する際の基本的な特性と材料、集積化した際の性質などAIハードウェアへの応用を目指す。

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