磁気の強さを約70分の1に、非鉄材料のTMR素子で超高集積MRAMの実現へ

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(a)強磁性体の概念図。スピン(矢印)が物質の中で平行に配列しており、強い磁気が磁力線を周囲の空間に発している。(b)反強磁性体の概念図。スピンが反平行に配列しており、磁気が打ち消しあうため磁力がない。

東北大学材料科学高等研究所(AIMR)は2018年12月7日、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)のトンネル磁気抵抗(TMR)素子を構成するナノ薄膜磁石の磁気の強さを約70分の1に抑えることに成功したと発表した。磁石としての性質を示すが磁気のない反強磁性体を利用した。

今回の研究成果は、超高集積MRAM実現への道筋に光を灯すものだ。現行のSTT-MRAMは強磁性体である鉄を主材料とするが、それでは高集積化が進むと、ナノ薄膜磁石の発する磁力により素子同士に干渉が起き、誤動作することが予想される。そこで研究チームは反強磁性体であるマンガンを主材料に用い、磁力の微弱なナノ薄膜磁石を開発した。

開発されたナノ薄膜磁石は、数原子層の純マンガンを規則合金(常磁性体)下地の上に真空スパッタリング法により堆積した。酸化マグネシウムで挟み込んだ界面構造を持つ。マンガンが界面に挟み込まれフェリ磁性体に変化するため、鉄製ナノ薄膜磁石の約70分の1となる磁気に抑えられる。

発表によると、このナノ薄膜磁石で構成された素子は磁気が微弱でありながら、室温で明瞭なTMR効果を発現するという。磁気の保持力は磁場換算で19テスラを超えるほど大きく、しかも電圧を加えることによる制御が可能だ。

本研究が行われた「内閣府 革新的研究開発推進プログラム」のPMである佐橋政司氏は「マンガンナノ薄膜磁石のフェリ磁性の発現機構およびMTJ素子のさらなる高性能化など残された課題もありますが、超高集積不揮発性磁気メモリ実現への新たな道筋が示されたことで、開発が一層加速されることを大いに期待しています」としている。

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