東北大学は2018年12月21日、燃料電池車や電気自動車などのZEV(Zero Emission Vehicle)向け駆動モーター用回転角度センサーを、同大大学院の中村健二教授と松尾製作所が共同開発したと発表した。電磁鋼板1枚を曲げて薄肉形状にし、磁場の経路を成立させることで、材料の使用量を約76%削減できたという。
中村教授らの研究チームは今回、駆動モーターユニットの軽量化と、それに伴うZEVのエネルギー効率向上を狙い、モーター用回転角度センサーの材料使用量の削減を図った。そのために、これまで電磁鋼板を積層させ磁場の経路としていた部分に対し、磁場の経路を電磁界解析で可視化。これにより、電磁鋼板1枚を曲げて円環状に配置することで磁場の経路が成立することを見出した。
その結果、回転角度センサーへの電磁鋼板の使用量を約76%低減することに成功。また、開発した回転角度センサーを電気自動車の駆動モーターユニットに搭載したところ、モーターのトルクと回転数において、従来品と同等の出力を得られることを確認した。
開発した回転角度センサーは、現在は無方向性電磁鋼板を使用し、センサーの特性を満たしている。しかし、電磁鋼板1枚で磁路が成立しているため、圧延方向の透磁率が大きい方向性電磁鋼板を用いれば、出力がさらに上昇する見込みがあるという。
研究チームは、開発技術は小型であるため、医療機器や産業用ロボットなどへの展開も期待できるとしている。