三菱マテリアル、車載用高輝度LED向けメタルベース基板を開発――アルミナ基板の約半分の熱抵抗

Chip Scale Package(CSP)LEDを実装したnBoard

三菱マテリアルは2019年1月8日、熱抵抗がアルミナ基板の約半分の車載用高輝度LED向けメタルベース基板「nBoard」を開発したと発表した。従来のセラミック基板と同等の高い放熱性を維持したまま、コストダウンが可能だという。

EVなどの次世代自動車のヘッドランプでは、従来の光源に代わり、高輝度LEDの採用が進んでいる。従来の高輝度LEDには、高い放熱性が要求されることから、窒化アルミニウム基板やアルミナ基板に代表されるセラミック基板が主に使用されてきた。

しかし、LEDヘッドランプの採用増加とともに低価格化の要求が高まり、セラミック並みに高い放熱性とコスト優位性をあわせ持つ、銅やアルミニウムを使用したメタルベース基板の開発が期待されていた。

メタルベース基板の放熱性を高めるには、銅やアルミニウムの基板の上に構成する樹脂絶縁層の熱伝導率の向上とその薄膜化が必要となる。従来は、樹脂絶縁層に数十μmスケールのセラミックフィラーを充填して熱伝導率の向上を図ってきた。しかし、この方法ではセラミックフィラーが大きいため、樹脂の絶縁特性が低下する他、膜厚を十分に下げられないというデメリットがあった。

従来品と「nBoard」の模式図

そこで三菱マテリアルは、複合材の設計と製造プロセスに関する独自の特殊技術を駆使し、メタルベース基板の樹脂絶縁層の薄膜化開発に着手。まずナノフィラーを使うことにより薄膜化に成功した。さらに、そのナノ粒子を均一に高充填するナノコンポジット技術を開発し、耐電圧の低下を抑制しながら熱伝導率を向上させた。

これらの技術により、耐電圧を落とすことなく樹脂絶縁層の膜厚を従来の80~120 μmから20~30 μmと約4分の1に極薄化。メタルベース基板の熱抵抗もアルミナ基板の約半分まで下げることに成功した。

熱抵抗比較

三菱マテリアルは、1月16~18日に東京ビッグサイトで開催される「第48回 インターネプコン ジャパン -エレクトロニクス 製造・実装技術展-」で、nBoardを紹介する予定だ。

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