ジェイテクトは2019年1月24日、重希土類を用いないことでレアアースの使用を抑え、さらに独自技術で製造工程を簡略化し、製品性能を向上させた埋込磁石型モーター(IPMモーター)を開発したと発表した。
焼結磁石を用いた表面磁石型モーター(SPMモーター)には、実用化されている磁石の中で最も磁力の強いネオジム磁石に、耐熱性と保磁力を向上させるジスプロシウムを添加したものが使用されている。このジスプロシウムは全17種類のレアアースの中でも、世界的に希少で分布が偏在している重希土類に分類されており、鉱物資源として利用するには軽希土類元素に比べて安定調達や材料コストの点でリスクを抱えている。
そこでジェイテクトでは2011年より、ネオジムとジスプロシウムを使用しないモーターの開発に着手しており、その結果としてSPMモーターと同等の高出力/低トルク変動を誇り、かつ重希土類フリーのボンド磁石を用いたIPMモーターの開発に成功した。今回開発した製品には、安価なサマリウムを原料としたボンド磁石を採用した。さらに、ボンド磁石の利点である成形自由度の高さを活かして、表面積を大きく取れるU字形状に磁石を埋め込んだ 「U字埋め込み形状」を採用することで、限られたスペースでの磁石表面積を大幅に増加させ、焼結磁石と同等のトルクを達成した。
製造工程においては、磁場成形金型設計と性能解析手法によってジェイテクト独自の射出成形技術を生み出し、着磁率/配向率の向上によって信頼性を高めた。その上で、従来の6工程から自社内完結の2工程にすることで生産性向上も実現した。今後は、自動車部品用アクチュエーター向けに2019年1月より同社の東刈谷事業場で生産を開始する。