超小型メモリーデバイスの可能性――常温で強磁性を示す2D薄膜磁性体材料を開発

常温でも強磁性を示す1原子厚さの2D材料(ZnxCo1-x)Oが開発された。赤、青、黄は、各々コバルト、酸素、亜鉛原子を表わす。 Credit: Berkeley Lab

国立ローレンス・バークレー研究所とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、常温でも強磁性を示す1原子厚さの2D薄膜磁性体材料を開発した。コバルト添加のファンデルワールス酸化亜鉛(ZnxCo1-x)Oの2D薄膜であり、常温以上の温度で化学的に安定し、強磁性を維持する。電子スピンの向きを利用するスピン・エレクトロニクスを活用したメモリーデバイスなどに応用できる可能性があり、研究成果が、2021年6月25日の『Nature Communications』誌に論文公開されている。

磁気メモリーデバイスは、磁性薄膜を用いた微小磁性体から構成されており、磁性体が小さければ小さいほどデータ密度を高くすることができる。一般的な磁性薄膜磁性体は、数百から数千の原子厚さを持つ3D材料だが、より高密度な磁気メモリー技術として、薄くて微細な2D磁性体が探索されている。バルク状態で強磁性を示す材料から、グラフェンと同様の剥離方法で2D磁性薄膜を作り出せる可能性があるが、これまでの2D磁性材料は、極低温でなければ強磁性が実現されず、通常の環境では化学的に不安定で酸化防止措置が必要といった問題がある。

研究チームは、非常に高いキュリー温度を持ち、将来のスピン・エレクトロニクス材料として注目されている希薄磁性酸化物の1つで、空気中における化学的安定性が高く、グラフェンに似た層状構造を有するコバルト添加のファンデルワールス酸化亜鉛(ZnxCo1-x)Oに注目し、2D薄膜を作成して磁気特性などを調べた。酸化グラフェンと亜鉛、コバルトの混合溶液を用い、これを加熱することによりグラフェン層に挟まれる1原子厚さの(ZnxCo1-x)Oを生成した後、最終的にグラフェン層を燃焼させて(ZnxCo1-x)Oの2D薄膜を実現した。結晶構造や磁気特性を電子顕微鏡やX線解析により調べ、1原子厚さであることを確認するとともに、コバルト濃度が5~6%の場合は常温で常磁性であるが、約12%まで増加すると常温で強磁性を示し、更に100℃でも強磁性を維持することを明らかにした。

研究チームは、「用いた溶液ベースの合成方法は、産業界が採用する上で大きな障害が無く、低コストで量産できる可能性は大きい。更に、原子レベルの薄さを活用することにより、2D薄膜における磁性原子間の相互作用について直接観察することが可能になり、量子物理の新しい研究分野を開拓できる」とし、将来的なコンピューターやエレクトロニクス技術への応用を期待している。

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