自然のタンパク質膜を使った人工光合成による水素生産――設計の美はシンプルであること

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Image by Olivia Johnson and Lisa Utschig.

再生可能エネルギーに関する研究を行うアメリカのエネルギー省(DOE)国立アルゴンヌ研究所では、植物の光合成を応用して水素を生産する研究が行われている。

光合成プロセスには、葉緑体のチコライド膜に埋め込まれたタンパク質複合体によって起こる「光化学系Ⅰ」と「光化学系Ⅱ」とよばれる2段階の機構があり、これは「Zスキーム」と呼ばれている。アルゴンヌ研究所のLisa Utschig博士らは2011年に、白金ナノ粒子と藻類タンパク質を結合させ、光化学系Ⅰの反応を利用して水素を効率良く生成することに成功した。この方法による水素の生成効率は従来の5倍だという。しかし、これは水素の生産に必要なプロセスの半分でしかない。また、水素の生成に必要な電子は、不可逆な電子供給源である犠牲電子供与体から供給していた。

今回Utschig博士らは、光のエネルギーを利用して水を分解し電子を取り出す光化学系Ⅱのタンパク質を組み合わせ、水から電子を取り出し光化学系Ⅰに供給することに成功した。研究成果は、2018年12月7日付け『Chemical Science』誌オンライン版に掲載されている。

掲載された論文によれば、2つのタンパク質複合体が、植物の葉緑体の内側に見られるように、チラコイド膜に埋め込まれている。自然から採取した膜がタンパク質間の電子伝達経路を提供し、Zスキームを構成する2つの光化学系を組み合わせるよう機能している。

Utschig博士は、「この設計の美しさは、その単純さにあります。天然にある膜を使い、目的の反応を行うための触媒を自己組織化することができました」と、その成果を説明している。

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