超小型高性能分光計の開発――スマートフォンやドローンに組み込み可能に

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フィンランドのアールト大学を中心とした研究チームが、マイクロチップに搭載でき、人工知能を使って操作可能な超小型分光計を開発した。これまで卓上サイズが一般的であった高分解能分光計が、スマートフォンやドローンなどの携帯カメラ機器に組み込み可能となるという。手軽に持ち運び可能な同分光計は、品質検査プラットフォームやセキュリティセンサー、生物医学分析、宇宙望遠鏡などのさまざまな装置への応用が期待できる。

同研究成果は2022年10月20日、「Science」誌に掲載された。

光の波長ごとに強度を測定する分光計は、試料の同定や材料特性を調べることができ、工業検査,化学/生物学的特性評価,画像センシング/解析などのさまざまな分野で不可欠である。分光計の小型化は、携帯カメラに使用できるなどの用途を拡大させるが、従来の分光計は、かさばる光学部品や機械部品を必要とした。

そこで研究チームは、従来の分光計部品を2次元半導体という原子1つ分の厚さの半導体材料と人工知能に置き換えることで、髪の毛先ほどに小型化できる可能性を提示した。同研究論文の筆頭著者であるアールト大学のHoon Hahn Yoon氏は、「本分光計は、光を分散させ選別するための光学部品や機械部品などを組み立てる必要がありません。さらに、卓上サイズの分光計に匹敵する高分解能を達成できます」と説明した。

同分光計は、人工知能による学習過程と再構成アルゴリズムを用いて、入射する光の波長応答を100%電気的に調節でき、0.36nmの高い波長精度と3nmの高い波長分解能、405~845nmの広い測定波長幅を達成した。また、赤外線の分析や撮影装置などにも応用できるという。

同分光計の開発は、これまでにない光学特性や電気特性が発見されてきた、グラフェンをはじめとした2次元半導体のここ数十年の研究成果に支えられたものである。今後、発展途上の2次元半導体の研究が、さまざまな科学分野にブレークスルーをもたらすと期待される。

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