ペロブスカイト太陽電池の性能を向上する新材料設計手法

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ペロブスカイト結晶において、光によって電子と正孔が励起される。

イギリスのポーツマス大学およびサウサンプトン大学、バース大学の共同研究チームが、ペロブスカイト太陽電池(PSC:Perovskite Solar Cell)の性能を高める新材料設計手法を考案した。ペロブスカイト結晶において光励起される電荷を損失なく取り出すために、電極との間に挿入する“輸送層”に適切な特性を明らかにしたものだ。研究成果は2018年12月21日に、『Energy and Environmental Science』誌に公開されている。

PSCは、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授によって発明された太陽電池だ。塗布プロセスや印刷技術で製造可能なため、大量生産による大幅なコスト削減が見込まれている。またシリコンベースの太陽電池と比較し、フレキシブルな太陽電池の実現に加え、短期間の間にエネルギー変換効率が20%以上も向上したことから、次世代型太陽電池として大きな注目を集め、世界中で活発な研究開発が行われている。

PSCでは、光励起される電子と正孔を、これらが再結合してしまう前に、アノードとカソードに“取り出し”、外部回路に電荷を移送する。そのため、電子と正孔と親和性の高い材料を、ペロブスカイト結晶の上下に“輸送層”として接合させる必要がある。この輸送層に用いる材料の選択が、太陽電池の変換効率および長期安定性に大きな影響を与えることが知られている。

研究チームは、ペロブスカイト中のイオン欠陥に注目し、このイオン欠陥と電子および正孔の運動モデルを構築して、電荷の輸送現象を解析した。その結果、イオン欠陥の移動が、電子および正孔の効率的な輸送に重要な役割を果たしていることを明らかにした。

そして、輸送層の誘電率およびドーピング密度を低く調整することにより、ペロブスカイトと輸送層の界面に隣接した薄い領域において、イオン電荷蓄積とバンド湾曲がもたらされ、界面における電子と正孔の再結合を抑えるとともに、これに起因する損失を低減できることを示した。

研究チームはまた、低い誘電率とドーピング密度を持つ輸送層を利用したPSCは、長期的安定性に優れていると提案している。これは、ペロブスカイト層端部における化学的変質および劣化に直結するイオン空孔の蓄積が、ペロブスカイト層内部において減少するためだと理由付けている。

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