三菱電機と産業技術総合研究所(産総研)は2019年2月5日、FA(ファクトリーオートメーション)機器の調整やプログラミングなどの生産準備作業を効率化するAI技術を開発したと発表した。
多品種少量生産が求められる生産現場で、FA機器やシステムの調整、プログラミングなど、工場での生産前に必要となる工数が増えている。しかし、これらの作業には、独自のノウハウをもつ熟練技術者が必要で、その不足が課題となっている。
そこで、研究グループは今回、FA機器やシステムに強みを持つ三菱電機の技術と、産総研のAI技術を融合。サーボシステムの位置決め制御の自動調整、レーザー加工品質の自動判定、産業用ロボットの異常処理プログラム作成時間の削減を実現した。
サーボシステムの位置決め制御では、熟練技術者が設定していた駆動速度や加速度などのパラメータを、AIによって自動的に調整。1週間かかっていたパラメーター調整を1日で完了させ、さらに位置決め時間を最大20%短縮することに成功した。
レーザー加工機を用いた板金切断加工では、目視で判定していた加工面を、画像認識向け機械学習技術により自動判定。加工品質を熟練技術者と同等レベルで判定することに成功した。
産業用ロボットでは、多くの時間を費やしていた異常時の処理に対し、異常発生状況を学習させる技術を開発。異常状態判定アルゴリズムの開発が不要となり、異常処理プログラムの作成時間を3分の1に削減した。
今回の成果は今後、三菱電機のAI技術「Maisart(マイサート)」のひとつとして、三菱電機のFA機器/システムに実装を進め、工場の生産性向上に大きく貢献するとしている。