窒素を導入したp型半導体グラフェンの開発に成功――太陽電池や透明電極、触媒などへの応用に期待 名大など

有機溶媒中のソリューションプラズマにより、室温で、陽イオン性窒素を導入したグラフェンを合成

名古屋大学は2019年3月11日、信州大学とタイのカセサート大学と共同で、窒素陽イオンを導入した高結晶性p型半導体グラフェンの開発に成功したと発表した。

グラフェン材料の機能を制御するためには、一部の炭素を異なる元素に置き換えること(ドーピング)が必要とされる。しかし、シリコン半導体とは異なり、グラフェンへのドーピングでは、異種元素の導入に伴い、グラフェンの特性の起源となる平面性が失われるという問題があった。そして、そのことが、カーボンデバイス開発の大きな障壁となっていた。

そこで、研究グループは今回、名古屋大のソリューションプラズマという合成技術により、重量比16.5%もの陽イオン性窒素を導入。平面性を維持することに成功した。15%以上の窒素を含みながら、高い結晶性と平面性を有するグラフェンとしては、世界で唯一の材料だという。また、半導体特性を調べた結果、正孔(ホール)をキャリアとするp型半導体特性を示すことを発見した。

研究グループは、この成果により、カーボン材料のみでできた軽量でフレキシブルな太陽電池やディスプレイなどに利用する透明導電性電極、燃料電池の触媒などへの応用が期待されるとしている。

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