静粛超音速旅客機の実現には乱流の解決が鍵

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Credit: James Chen / University at Buffalo.

ニューヨーク州立大学バッファロー校のJames Chen助教授が、静粛超音速ジェット旅客機を実現するための基礎研究を発表した。研究成果は2019年1月3日付けの『Engineering Mathematics』に掲載されている。

航空機が音速の壁を超えると、ソニックブームという衝撃波が生じて大音響が発生する。一般の旅客機が超音速での飛行を狙わない理由の一つはこれで、1976年に導入されたマッハ2.2の超音速旅客機「コンコルド」は、ソニックブームによる騒音への苦情などから、2003年に退役するまでアメリカなどでは陸上での超音速飛行が禁止されていた。

Chen助教授は、静粛超音速旅客機の実現を目指す上で、「悪名高いソニックブームの削減は、始まりに過ぎない」とし、超音速で飛行する航空機の周囲の大気で何が起きているのか、その理解が必要だという。「私たちは古典物理学上で未解決な乱流の問題に答えねばならない。極超音速で飛行するときの空気の流れについて、私たちが知らないことは多い」とChen助教授は語る。

Chen助教授の研究は、オーストリアの物理学者であるルートヴィッヒ・ボルツマンの気体分子運動論を、音速の約5倍に当たる3836マイル(約5マッハ)以上の極超音速までの高速度空気力学に拡張しようとするものだ。

Chen助教授は当初、他の研究者と同様に直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulations:DNS)を使ったが、「高性能コンピューティングを用いたDNSは、通常の乱流問題を解決するのに役立つが、超音速域ではその基礎方程式が成立しないことがわかった」という。

そこでChen助教授は、モーフィング連続体理論(Morphing Continuum Theory:MCT)に取り組んでいる。MCTは、極超音速飛行時の乱流という難解な高速空気力学の問題を探求するためのコンピューティングプラットフォームに適用できるものだ。Chen助教授はこのプラットフォームにより、最終的には超音速および極超音速機の機体形状から材質にわたる設計手法の確立を目指している。

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