海岸沿いの便利な日よけが頑丈な防潮壁へと変形――高潮から町を守る巨大な「傘」の基本設計を考案

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Image courtesy of FotosFortheFuture/Shutterstock.com; modified by Mauricio Loyola

台風やハリケーンによる高潮の被害は頻度、規模共に年々増加し、特に、2012年の巨大ハリケーン「サンディ」による被害を教訓に、高潮(風津波)被害に強い都市計画が求められるようになってきた。防潮都市計画の例としては、町の高低差などを利用して防潮機能を風景に組み込み、ニューヨークのロウアーマンハッタンを高潮から守る「BIG U」が知られている。

これに対し、米プリンストン大学の研究チームは、海沿いの町を守る可動式の防潮壁を考案し、その研究論文を2020年3月28日付で構造工学関連ジャーナル『Journal of Structural Engineering』において発表した。

プリンストン大学の研究チームが作成した基本設計に基づく防潮壁は、普段は海岸沿いの歩道に日陰をつくる「傘」として働き、海辺の景観と水際へのアクセスを確保しつつ、ハリケーンが迫ってきたときには傾けて壁のように立てることで暴風による高潮から町を守るというもの。可動式とするには薄くかつ水圧に耐える強度が必要だが、プリンストン大学が考える防潮壁は、厚さ約4インチ(約10センチ)の鉄筋コンクリート製。1つの軸に沿って内側に湾曲する一方、他の軸に沿って外側に湾曲しているサドルのような双曲放物面形状をしており、この形状により強度が得られるとしている。

研究では、防潮壁の計算モデルを作り、1899年~2012年のアメリカ東海岸でのハリケーンによる高潮データを調査して最高18フィート(約5.5メートル)の高潮を想定したシミュレーションを行った。その結果、壁の高さの75%程度の高潮を受け止めても安定することを確認した。

同大学の博士課程学生で論文の筆頭著者であるShengzhe Wang氏は「この外郭構造はとても薄いので、これを見た人はこの構造物が水圧に耐えられるとは誰も思わないだろう。しかし、我々は双曲線放物面形状を利用して、構造物の強度を必要なレベルまで上げることができる」とコメントしている。

研究チームは、アメリカの大西洋とメキシコ湾岸の洪水マップを作成した研究者と協力し、この新しい設計デザインを沿岸防災力の全体計画に統合することを考えている。また、ニューヨーク市とも協議しているという。

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Giant umbrellas shift from convenient canopy to sturdy storm shield

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