固体ナトリウムイオン電池の性能を改善する有機電極を開発

CREDIT: UNIVERSITY OF HOUSTON

ヒューストン大学は、固体ナトリウムイオン電池のエネルギー密度と安定性の両方を大幅に改善する有機カソード(負極)を開発し、科学ジャーナル『Joule』に発表した。この有機電極には、負極-固体電解質間の抵抗界面の可逆変化と、良好な接触の維持という2つの特徴がある。

固体ナトリウムイオン電池は、レアメタルに依存しないため低コスト化が可能で、太陽光や風力によって生み出された再生可能エネルギーを貯蔵し、電力を安定供給するためのグリッドストレージなど、定置用蓄電池としての利用が期待される。

論文の責任著者でヒューストン大学電気コンピュータ工学部のYan Yao助教授によれば、PTO(ピレン-4,5,9,10-テトラオン)として知られる有機負極材料には、従来からの無機負極に比べてユニークな利点があるという。 「我々は、負極と電解質の間にできる抵抗界面が元に戻せることに初めて気付いた。それは安定度と、より長いサイクル寿命に貢献することができる」とYao助教授は言う。

多くの全固体電池では、充放電を繰り返すうちに形成される負極と固体電解質が形成する界面の抵抗が増加し、電池の性能が落ちる。ところが、この電池では有機電極の適度な電位が電解質変質を可逆性にし、これにより、電池のサイクル寿命を伸ばすことができる。

また、従来からの硬質電極は電池サイクルの間に膨張・収縮して電解質との良好な接触を保つことが難しかったが、この有機電極は柔軟で、サイクル中に正極が膨張・収縮しても固体電解質との界面で緊密な接触を維持することができるという。これらの特徴により、エネルギー密度587Wh/Kg、サイクル安定性500サイクルを達成したと報告されている。

液体電解質を使用するリチウムイオン電池は、比較的高いエネルギー量を蓄えることが可能なため、携帯電話から補聴器まで、現代生活の道具に電力を供給するために広く使われている。 しかし、火災や爆発の危険があるため、他の種類の電池、特に全固体電池による置き換え可能性への関心が高まっている。

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