スーパーコンピューターを使い、スピンゼーベック効果による熱電発電向け新材料を発見

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Credit: Ruben de Rijcke, Creative Commons

自動車ではエネルギーの約60%が熱として失われているため、排熱を利用する熱電発電は自動車業界において活発な研究分野のひとつだ。しかし、熱を電気に変換するコストは、電気を直接生成するよりも高くなることが証明されている。そこで、テキサス・オブ・ザ・パーミアン・ベイシン大学機械工学科上級講師のAnveeksh Koneru氏は、スピン偏極材料中の電子の量子力学的運動を利用して熱を電気に変換するための方法を探している。

Koneru氏が着目しているのはスピンホール効果だ。このメカニズムを介することで、強磁性材料上に取り付けられた金属微粒子に可視光を照射し、温度差を付けることでスピン流が生じ、電圧へと変換できることを、日本の研究者が実験的に実証している。しかし、この「スピンゼーベック効果」による熱電発電の最適な形は、まだ見つかっていない。

Koneru氏は酸化コバルトにおいて、適切な材料を見つけたと考えている。酸化コバルトは、ニッケル、銅、マンガン、亜鉛との混合を可能にする置換遷移金属カチオンを受け入れる特有の能力を持つ。これらの金属はその磁力特性により、上下に回転する電子の分離を増やし、熱から電気への変換を高める。

「材料は良質の電気伝導体であるべきだが、悪質の熱伝導体であるべきだ。電子は伝導すべきだが、熱であるフォノンは伝導すべきでない」とKoneru氏。「これを実験的に研究するなら、何千種類もの材料の組み合わせを作り上げねばならない。その代わりに、私たちは材料の最適な構成を理論的に計算することを試みている」という。

2018年以来、Koneru氏はさまざまな代替品を使用して、多様なコバルト酸化物のエネルギープロファイルを仮想的にテストしてきた。テストにはテキサスアドバンストコンピューティングセンター(TACC)のスーパーコンピューターを用いた。「各キャリブレーションには30〜40時間の計算時間がかかる。少なくとも1000〜1500の異なる構成を検討する必要がある」とKoneru氏。そのための強力な計算機能をTACCは提供している。

Koneru氏らは最適な熱電性能を達成するために、ニッケルと亜鉛の置換によって調整された酸化コバルトの3つの構成の56原子単位セルを研究。バンドギャップ、格子定数、伝導電子の有効質量、スピン偏極といった物理特性を計算した。さらに、これらの基本的な特性を使用して、従来の電荷およびスピン輸送計算を実行するのに成功した。これは酸化コバルトの構成が熱を電気に変えられることを示している。

Koneru氏は「コバルト酸化物のスピネルをニッケルで置き換えたときにスピン分極がはっきりと見えるので興奮している。それは良い兆候だ」という。「ある特定の構成ではバンドギャップがより大きく分割されていることが分かった。これは驚くべきことであり、さらに検討する必要がある。さらに、すべてのキャリブレーションは収束している」としている。

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