燃料不要のロケットシステム「EmDrive」――最新の実験結果を公表へ

独ドレスデン工科大学の研究チームは、燃料を使用せずにロケットの推力を生む技術「EmDrive」実験の最新の結果を発表した。微小な推力を計測するため、周辺環境の影響を受けにくい実験装置を開発している。実験結果は2019年8月の『Acta Austronatica』で公開される予定。

EmDriveとは、英Satellite Propulsion Research(SPR)が提唱している技術で、マイクロ波を使って電気的エネルギーを直接推力に変えられるという。現在、実験用スラスターと試験エンジンを開発している。共振導波路を伝播する電磁波の放射圧を増幅させることで推力が生じるため、既存のロケットと異なり燃料は必要ないとしているが、その原理は物理学の法則(作用反作用の法則)に反するとする指摘もある。

Martin Tajmar教授率いる研究チームは、μNあるいはサブμNとも言われるEmDriveの微小な推力を計測するための装置を開発した。真空チャンバーに入ったトーションバランス(ねじりばかり)のようなもので、100nNを計測できる。電磁シールド、熱ドリフト対策も施し、赤外線通信で制御する。真空を乱すことなく被験物を180度回転させて、信頼度の高い推力測定ができるシステムを構築した。

公開された論文は、2018年8月から9月の間に実施した実験結果を示しているという。内容が注目されるところだが、まだ最終的な結論は出せないとのことだ。

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