- 2019-6-27
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東京工業大学と東京大学、科学技術振興機構(JST)は2019年6月26日、新たに開発した低閾値整流昇圧回路によって環境発電素子の広帯域化に成功したと発表した。
環境発電素子は、自然界に存在する微弱な環境振動を利用し、振動の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。電池フリーで夜間/暗所でも発電できるため、低電力無線IoT端末向けの発電素子として注目されている。しかし、入力振動の周波数が素子の共振周波数から外れると出力が急減してしまう。発電可能な入力振動の広帯域化には、素子サイズの大型化や素子ごとの回路調整が必要だった。
そこで、研究グループは今回、環境振動周波数(1000Hz以下)で動作可能な低閾値整流昇圧回路を新たに開発。その回路を環境振動発電素子の後段に接続した新システムを提案した。これにより、従来は回収不可能だった周波数帯域の振動エネルギーを電気エネルギーに変換可能となった。また、素子の機械構造によらず適用可能なため、高い汎用性もあるという。
さらに、実証実験として、MEMS(微小電気機械素子)と集積回路の技術を用いて実システムを開発。従来技術と比較して約3倍の広帯域化に成功した。
研究グループは、この技術により、あらゆる環境振動発電素子の利用環境を拡大できると説明。それにより、無線IoTセンサー端末などへ向けた電池/配線/利用環境フリーの環境発電技術の性能向上につながるとしている。