世界最小のMRIが単原子の磁場のイメージを捉える

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Credit: Philip Willke et al

病院で日常的に使われるMRIは、人体に含まれる水分を構成する水素原子核の磁気共鳴を利用して断層写真を作り、病変や異常部位の検査に使われる医療機器だ。韓国の梨花女子大学では、この大きな磁石のトンネルの原理を応用して個々の原子の作る磁場を調べる研究が行われている。

梨花女子大学量子ナノサイエンス(QNS)センターは、走査型トンネル電子顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)の原子レベルの鋭さを持つ探針に特殊加工を施した。走査型トンネル電子顕微鏡は、金属製の探針と試料間に流れるトンネル電流を利用して、表面の形状を原子レベルの分解能で観察できる顕微鏡だ。QNSの研究では、試料に磁性体である鉄とチタンを使い、探針には別のスピンクラスターが付けられている。

同センターの研究者らは、酸化マグネシウムの上に試料の単原子を配置したものを用意し、この装置を用いてMRIのようにして試料の表面を走査した。探針のスピンクラスターと試料となる原子が形成する3次元磁場をこれまでにない分解能で投影し、単原子の周囲に生じる磁場のイメージを捉えることに成功した。『Nature Physics』誌に発表された論文の代表執筆者であるQNSのPhilip Willke博士によれば、磁気相互作用は探針と試料の両方のスピン特性に依存し、これにより、磁場のシグネチャによって異なる原子を識別することができるという。研究チームはこの原子1個分のMRIを使用して、量子システムの特徴づけや、コントロールを行いたいとしている。

QNS所長のAndreas Heinrich教授は、「スピンとその磁場をこれまで想像もできなかった分解能で投影する能力により、物質の構造についてより深い知識が得られる。これにより、基礎研究の新たな分野が開かれる」と、その研究の意義について述べている。

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World’s smallest MRI performed o single atoms

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